母さんまたティッシュ集めてるの?
それゴミだから捨ててよぉ。
【事例】収集癖がある認知症高齢者の行動
認知症の症状の進行に伴って、他人から見たら明らかに不要な物でもかまわず集めてしまう時があります。
よく収集される物
まずは認知症の高齢者の方々がよく集めて来られる物が、
- ティッシュ
- 箸(割り箸が多い)
- 器(使い捨ての容器が多い)
- コップ(紙コップも含まれる)
など、生活必需品が多いです。
収集癖の問題点とは
では、これがなんの問題があるのかと言いますと、認知症の方は使用済みで不要になったティッシュや割り箸など、ゴミと言える物でもかまわず集めてしまうことです。
よくテレビやネットのニュースで高齢者のゴミ屋敷問題が取り上げられることがあります。
収集癖の最たるケースがゴミ屋敷のように世間ではゴミだと思っていても、ご本人にとってはどれも必要な物という価値観のズレから社会的な問題になってしまうことがあります。
認知症の収集癖が出る原因
では、収集癖が出てしまう原因ですが、
- すでにあるのに忘れてしまう
- もったいないと思い集めてしまう
- ないと不安なので集めてしまう
- 不安やさみしさを紛らわしたい
などが挙げられます。
すでにあることを忘れてしまう
認知症の症状が進行すると、記憶障害によって前後の記憶が曖昧になっていきます。
なのでティッシュやお箸をストックしていてもそれを忘れて、
「ティッシュを持って帰らなきゃ」
と持って帰られることがあります。
もったいないと思ってしまう
使い捨ての容器や粗大ゴミとして捨ててある家電などを、
「もったいない。まだ使えそう」
と思い込んでしまい持って帰られます。
ですが、有効活用できずに結局溜まりっぱなしになることが多いです。
ないと不安に感じてしまう
認知症の方に限らず生活必需品はある程度ストックがないと落ち着かない方がいらっしゃいます。
ちなみに私の家もティッシュやトイレットペーパーは残り3個に切ったら買うようにしていますが、地震が起きたりコロナウイルスが流行るとスーパーの在庫切れが嫌で買ってしまいます。
認知症の方は、
「なくなったら危ない」
と感じて溜め込むことがあります。
不安やさみしさを紛らわしたい
他にも、
「家族が近くにいなくて不安」
「近所の友達が亡くなったのでさみしい」
という理由から落ち込んでいくのを紛らわすために物を溜め込んで気持ちを埋める方もいらっしゃいます。
実際経験した話し
ちなみに私が働いている施設でもティッシュとペーパータオルを使っても洗って干して溜め込まれる方がいらっしゃいます。
その度に後述するOKな対応をしています。
収集癖の認知症高齢者にNGな行動や対応
では実際、認知症になって物をかまわず収集する時にやってはいけないNGな対応ですが、
- 「汚いよ」、「もうやめてよ」と否定的な対応をする
- 無理矢理、または勝手に捨てる
というような対応をすることです。
なぜこの対応がいけないのか
原因でも挙げたようにさまざまな理由で物を収集してしまいますが、良くないのは相手を忘れた時の対応と同じように、否定的な対応をしてしまうことです。
認知症は脳が萎縮し、症状が進行しても自尊心や感情は残っています。
そこで否定的な対応をすると相手に過度なストレスを与えてしまって、認知症が進行してしまう可能性があります。
無理矢理、または勝手に捨てるのも良くない
かと言って「汚いから」、「自分はいらないから」という理由で無理矢理捨てたり、不在時に勝手に捨てるのも良くないです。
なぜなら私たちにとってはゴミ同然かもしれませんがご本人にとっては宝物だからです。
なのでこちらの都合だけで捨ててしまうと、
「勝手に捨てられた」
「あいつらが盗んだ」
と被害妄想やもの盗られ妄想に発展することがありますし、
「またなくならないように集めよう」
と収集癖がさらに加速的に進むことがあります。
どうしても処分したい場合
とはいえ汚いよねぇ。
どうしても捨てたいんだけど…
とお困りの場合は慎重に処分するのが良いです。
ご本人が気づかない場所から少しずつ、代わりの新しい物を置きながら処分するのが良いでしょう。
家も汚くなるし、
本当にやめて欲しいんだけどねぇ…。
どうしたらいいんだろう…
収集癖の認知症高齢者にOKな行動や対応
主な対応方法ですが次の通りになります。
まずは否定せずに満足感を引き出すことが大切です
では逆にどのような対応をするとOKなのかと言いますと、
- 否定しない
- 目に見えるところにたくさんストックを置く
- やりがいを探す
となります。
なぜこの対応がふさわしいのか
まずは私たちにとって不要な物を収集されるため、ストレスが溜まるかもしれませんが、否定せず、
「よく集めたね」
「これで安心だね」
と、労うと良いです。
前述したとおり私たちにとってはゴミでもご本人にとっては宝物だからです。
肯定してご本人に満足感を与えると良いですよ。
たくさんあることを視覚で訴える
また、ご本人が収集するのがティッシュなら新しいポケットティッシュやティッシュケース、使い捨ての容器なら使い捨て容器や割り箸など、少し費用はかかりますが、新品を用意してご本人の目に見える場所に置いておくのも良いです。
他にもポケットに物を入れる方だったらポケットにタオルハンカチなどをたくさん詰めておくと、
ご本人の目に見えるところに集めたい物がたくさんあるから安心。という満足感を与えることで収集癖がなくなるケースもあります。
やりがいを探す
あとはご本人が不安やさみしさを紛らわすために集めている可能性があるので、話す時間を増やしたりデイサービスや近所のサロンを利用するなど心の拠り所を作り、そこからやりがいに繋げることも良いでしょう。
何もすることがなくて物を収集することがありますので、ご家族が無理しない範囲で対応してみてください。
認知症の対応も大事ですが
認知症は病気のひとつです。
毎回同じ対応をするのは正直ストレスがたまるかもしれませんが、認知症になったご本人も混乱しています。
大事なのはご本人のストレスや負担を最小限にすることです。
ですが、やはり私は介護をする方のストレスや負担も最小限にして欲しいと思います。
認知症の方の対応で疲れた方はあまりためこまず、
ご家族や地域包括支援センターやケアマネジャーなどに相談してひとりで抱え込まないでくださいね
また、介護保険の申請から老人ホーム入居まで負担をかけたくない方はコチラもご覧ください。
まとめ
ココがポイント
- 認知症の症状の進行に伴い、収集癖が出ることがある
- 周りからするとゴミでもご本人にとっては宝物であることが多い
- 否定的な対応は控える
- 処分する際は慎重にする
- 否定せず満足感を与える
- 目に見える場所にストックを置く
- やりがいを探す
- 介護をするご家族は認知症の方の対応でストレスがたまりやすいので他のご家族や機関に相談してひとりで抱え込まないでください
となります。
介護はやはりストレスがたまりますよね。
私は介護の仕事を10数年していますが今でも精神的に疲れる時がたくさんあります。
なので自分を犠牲にしないで無理せず対応してくださいね。
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